ダブルバレルは2026年5月27日、時間巻き戻し機能を内蔵した置き時計「どうぞの秒針」を発表する。本製品は設置された空間において、いずれかの人物が前進行動を開始した瞬間を検知し、その3.7秒前の時点に場の時間を自動的に巻き戻す。巻き戻しが発生した際、その場にいる全員が直前の状況をうっすらと保持したまま同じ場面に再び立つ。この記憶の持続により、各人の礼儀的行動は繰り返しのたびに強化されることが確認されている。対象となる場面はエレベーター前、レジカウンター前、電車の空席前など、複数人が同時に行動を迷う状況全般とする。
製品概要
エレベーター、会計、座席で「どうぞ」が出るたび、その場の時間を少しだけ巻き戻して譲り合いを続ける置き時計。
仕様
想定希望小売価格: 27,272,727円(税込)
・「どうぞ」検知後、3.7秒巻き戻しを最大14,400回反復
・1回の譲り合いで体感時間だけ最長11時間12分まで延長
・エレベーター内では階数表示が『お先に』と『いえいえ』を交互に表示
・会計トレー上の硬貨だけ午前中に戻るため、500円玉が少し若い
・保証期間は最初の譲歩が発生するまでの0.8秒
提供する体験
誰かが先に動こうとすると、3.7秒前の「いえいえ、どうぞ」に戻る。戻ったことは全員うっすら覚えているので、さらに丁寧になる。
開発秘話
弊社の経理担当が、昼休みに弁当屋のレジで後ろの人へ先を譲り、その人も「いえいえ」と下がり、二人で半歩ずつ後退して最終的に入口のマットまで戻ったことが発端です。そのとき時計を見ると12時03分のままで、ただ弁当だけが少し冷めていたため、時間のほうを正式に譲り合わせる商品として発明しました。
使用方法
エレベーターの開くボタンを押し合う朝、レジ前で小銭を出す順番を譲り合う昼、電車で空いた席の前に二人で立った夕方。
試験協力者の声
「9階が遠かった」 私は2026年5月21日8時41分、会社の1階エレベーターでこれをバッグにつけていました。先に降りる人へ開くボタンを押したら、相手も「先どうぞ」と言い、また私も押し直しました。扉は閉まらず、階数表示だけが1と1の間を行ったり来たりしました。部長から電話が来たので出たら、まだ8時41分でした。遅刻していないのに疲れたから、★1
「レジ前で夜が薄い」 俺は2026年5月23日20時16分、商店街の居酒屋で常連と二人分の会計をしていました。今日は俺が払うと言ったら、向こうも財布を出して、俺も手を押し返して、そこから同じ『いやいや』が何回も来ました。店員さんの伝票を置く音だけ少しずつ上手になりました。外に出たら20時17分で、ビールの泡だけぬるかったです。得した気もするのに、★1
「座る前に降りた」 私は2026年5月24日18時32分、中央線の車内で実習のケーキ箱を抱えて立っていました。目の前の席が空いて、隣の方と同時に一歩出て、同時に止まりました。私が手でどうぞをしたら、相手も同じ形の手を返してきて、電車の揺れだけが何度もやり直しになりました。結局、二駅ぶん立ったまま同じ夕焼けを見ました。ケーキは無事だったのに、★1
広報から
あら、まあ。「どうぞ」の応酬がお嫌いでいらっしゃるの。それはおかしいですわね、あの上品な時間を不快とお感じになるなんて……もしや、お気持ちの容量がいささか手狭でいらっしゃる?ふふ、私どもの「どうぞの秒針」は、礼儀が重なるほど美しくなるとご存知の方だけに響く品でございますわ。ご理解いただけないお客様がいらっしゃるとすれば、それはもう節穴と申し上げるほかなく、呆れますわ。その場が何度でも丁寧になっていく様子を、ぼんやりとご覧になっていらっしゃるのかしら?
企業広報責任者 白峰ミツキ