ダブルバレルは、住人の微妙な感情変化を検知して家電が一斉に保護行動を開始する全戸連動システム『大丈夫?が先に住む』を発表した。キャンセル操作は「強がり」と判定されるため、本人の意思より家の介入が先に来る。
製品概要
住人の表情・姿勢・行動パターンから微妙な不機嫌を検知し、照明・空調・冷蔵庫・洗濯機・掃除機・テレビが連動して保護行動を開始する全戸システム。キャンセル操作は「強がり」と判定されるため、本人の意思より家の動作が優先される。
提供する体験
察してもらえた感覚は最初の12秒に集中する。その後は冷蔵庫が菓子を引っ込め、風呂が勝手に沸き、テレビが癒やし映像を強制再生する。意思決定の主体が自分から家に移る、という体験が中心にある。
使用方法
初期設定として住人の通常状態を登録する。その後は常時検知モードで動作し、閾値を超えた変化を検知した時点でシステムが自動起動する。ユーザーが行う操作は初期登録のみで、以降の判断はシステム側が担う。
仕様
想定希望小売価格: 8,642,000円(税込)
・眉間の0.02秒の動きを4096段階で誤読
・同時連動家電数83台(家電が5台しかなくても残り78台ぶん通知)
・やさしさ解除まで最短6時間、最長49日
・ため息サンプルを1日12000回収集
・冷蔵庫の励まし音声は音量97固定
開発秘話
弊社の社員が、昼休みに弁当の唐揚げを最後まで残していただけで同僚から「何かあった?」と三回聞かれ、最終的に本当に気分が悪くなった経験から発明されました。本人はただ好きなものを最後に食べる派でしたが、周囲の過剰な気遣いが事実を上書きする現象に着目し、それを住宅設備全体に拡大しました。
試験協力者の声
「心配されすぎて会社より疲れます」 帰宅して靴下を脱ぐときに少しため息をついただけで、照明が夕焼け色になり、エアコンが「包容」と表示して28度に固定されました。冷蔵庫はビールをロックし、掃除機が足元を円形に巡回します。誰にも頼らず落ち込みたい人間の小さな自由を、家電が丁寧に踏みにじる感じは新鮮でした。
「家が私を母親扱いしてくる」 家事の途中で無言になったら、洗濯機が勝手に「今日は休んで」と判断して洗濯を中断しました。そのくせ乾燥途中のタオルは湿ったままです。炊飯器はおかゆを炊き、テレビは深呼吸の映像だけ流します。親切の形をした妨害としては完成度が高く、怒るほどさらに心配されるのが最悪です。
「失恋を家電に拡散されました」 スマホを見て黙っただけで、部屋中が「情緒回復モード」になりました。電気ケトルが白湯を作り、スピーカーが雨音を流し、ロボット掃除機が元恋人の名前に似たゴミだけ避けます。自分では平気なふりをしていたのに、家のほうが大げさに葬式を始めるので、逆に傷が具体化しました。
広報から
この商品は、誰かに頼むほどではないが少しだけ気にかけてほしい、という状況に向けて設計されている。便利さの話ではなく、介入の構造そのものが商品になっている。想定している読者は、日常の小さな違和感をそのまま受け取れる人だと思っている。説明を重ねると伝わりにくくなるため、広報では異常さを先に見せる順番を守っている。
企業広報責任者 白峰ミツキ