ダブルバレルは2026年5月22日、架空飲料『初恋ビター濃縮ドリンク すっぱ青春Pro Max 5G』を発表した。楽しかった記憶成分を99.997%除去し、思い出の嫌な部分だけを濃縮したという設定の本製品は、飲料としての用途を意図的に逸脱した企画商品である。
製品概要
初恋の苦さ、受験失敗の屈辱、フラれた瞬間の沈黙を素材とした架空の濃縮飲料。楽しかった記憶成分を99.997%除去し、思い出の嫌な部分だけを舌に残すという設定で開発された企画商品である。
提供する体験
同窓会の帰り道や、昔好きだった相手が普通に幸せそうだった投稿を見た後など、自分だけ過去に取り残された感じが来る場面に対応している。その感覚を薄めるのではなく、正確に強める方向に設計されている。
使用方法
使用推奨シーンは、同窓会の帰り道、過去の相手の近況投稿を見た直後、自分だけ過去に取り残された感じを確認したい夜の3つを想定している。一本を口に含み、あの頃の嫌な部分が舌の上に戻ってくるまで待つ。
仕様
想定希望小売価格: 48,000,000円(税込)
・苦味指数 失恋換算で初恋18.6回分
・1本あたり黒歴史沈殿物42g配合
・甘味料0mg、後悔増粘剤9000mg
・開封後3秒で部屋の空気が高校の廊下風になる
・賞味期限は告白を断られた日から数えて13年
開発秘話
弊社の社員が、実家の押し入れから高校時代の交換日記を発見し、相手の欄だけ途中から別の男子の話題で埋まっていることに気づいたのが発端です。その社員は当初、甘い青春味の飲料を作る予定でしたが、試飲会で全員が甘さより気まずさを長く覚えていたため、嫌な部分だけを残す方向に変更されました。
試験協力者の声
「味が嫌すぎる」 一口飲んだだけで、中学の卒業式で第二ボタンを誰にも求められなかった記憶が舌の奥から出てきました。飲料としては完全に失敗ですが、忘れていた小さな敗北を精密に掘り返す性能だけは異常に高いです。飲み切れませんでした。
「気分が沈むだけ」 甘酸っぱい青春を期待すると、酸っぱさのあとに苦さと空白だけが残ります。飲んだ夜、昔の受験番号掲示板の前で立ち尽くした感覚をなぜか思い出しました。商品としては最低ですが、楽しい記憶を邪魔する力は妙に信用できます。
「二度と飲まない」 好きだった人に既読無視された日の通知音みたいな後味です。冷やしても温めても不快で、炭酸も弱いです。ただ、友人同士で回し飲みすると全員が急に静かになり、場の明るさを確実に削れるので、用途が間違っているだけかもしれません。
広報から
この商品の想定読者は、過去の自分をまだ引きずっていることを自覚していて、その感覚を少し茶化せる人だと考えている。同窓会の帰り道や昔の相手の近況投稿という具体的なシーンが設定されているのは、その痛みに心当たりがある人に一発で届けるためだ。癒しや便利さの方向には意図的に寄せていない。見た瞬間に何かが動く、その一点を広報の軸に置いている。
企業広報責任者 白峰ミツキ